GFの死亡事故現場で眩暈に襲われ、同じように崖下に転落…と思ったら見慣れた街中。
首を傾げつつ自宅へ戻ってみると家には「姉」がいた。姉なんていないのに。
「自分の生まれなかった世界」へ迷い込んでしまうパラレルワールド物(そんな分野あるのか?)
主人公リョウは高校生。
青春小説といえばそうだけれど爽やかさはない。あるのは残酷さ。
相手は男子高校生だぞ。
「自分がいない」というか「自分がいなかったら」を見せ付けられ、どうするかな。
そんな世界を知らなければ生き方に間違いや正解があるなんてこと考えもしない。
「自分の劣等感を他人に投影してこき降ろして溜飲を下げる」この言葉、嫌だわ。
そういう自分が見えそうで。
米沢穂信さんの本は初めて。
鬱々としてくる話だけれど、嫌いじゃない展開です。
自分の選択がことごとく正しくない選択だったことを見せ付けられ、かといってやり直しができるわけでもない。
そのままリョウも読んでいるこっちも突き放されたような終わりを迎える。
このバッサリ感を楽しむのかな。
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