休職中の青年が、ハローワークの前で奇妙な仕事にスカウトされる。
これから1ヶ月、監視カメラやマイクのある別荘で、ある女性と少女の3人で仲の良い家族を演じてもらいたいと。
好奇心と破格の報酬から引き受けることにするが、到着早々不思議なことが起こり始める。
といってもホラーではない。後できちんと(?)説明がつく。
話の本筋の合間に偽夫婦が語るお互いの過去。
納得がいかなかった思い出を語るのだが、それを相手が推理するという、安楽椅子探偵風味も入っている。でもあんまり…。
メインテーマじゃなく、キャラクターを知らせてくれるための挿話程度かな。
少女の希望であろうことまでは、なんとなく想像できるが、その理由の背景は出来ませんでしたね。
疑心暗鬼であったのが、だんだんとつながりを強く感じていく様子は、最近読んでいた西澤さんの本とは違った趣で優しい気持ちにさせてくれます。
「おとなのお伽噺」と西澤さんも書いておられますが、そのとおりですね。
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ゴスペラーズの黒沢さんです。
NHK−BSの「熱中時間」という番組でカレーに熱中している黒沢さんが出演していました。
食べ歩くだけではなく、彼は自分で作るのです。
番組内では、自分のオリジナルカレーをあるカレー店のインド人シェフに食べていただくという趣向。
材料選びから、スパイスの調節、新たな試み…と生き生きと熱中していました。
この番組がとても面白かったので、当然出版されているカレーの本も見ないわけにはいきません。
本の内容のほとんどが彼の好きなお店のカレーの紹介。
あと黒沢オリジナルカレーのレシピ4点と対談。
カレーに向ける情熱が熱く伝わってきます。
タクシーを1時間飛ばして食べに行くなんて普通出来ません。
インドに行って自分の作ったカレーを食べさせて、店のメニューに入れたいと言わせたい
とテレビで言ってましたが、その野望があるからこそなのでしょう。
私もカレーは市販のルウは使いません。
年のせいか(笑)しょっぱくてかなわないのです。
この本見ると間違いなくカレーが食べたくなります。
でも彼の情熱に気圧されて、退いてしまう人もいるかもしれません。
なんたって、カレーを作るためにキッチンを改装したそうですから。
入江さんの本は楽しいのですが、京都物は敷居が高く敬遠気味。
どちらかというと、英国を題材にした本のほうがお気に入り。
地方ごとに文化の違いがあるのはわかるが、なかでも京都には特別なものを感じる。
でもこの本はとても面白かった。
楽しむためにはまずイケズに対する誤解を解くことから。
陰険、意地悪、イヤミ…といったイメージを持っていたがそれとは別物らしい。
京都以外の人がもっている上記のイメージは大抵、人間の持つ裏表の面で、相手によって態度が変わるもの。
でもイケズは正面から堂々と行われ、同じ視線からバチっと照準を合わせ、その人個人に向けられる。
単なる皮肉やイヤミではなく、その人に気付かせてあげるためにあるようだ。
直接的では傷つけてしまうので、遠回り気味に教えてくださっているのですね。
相手が気付くか気付かないかの匙加減が京都人の技なのでしょうか。
お客様にカマス、イケズの代表とされる「ぶぶづけ」。
しかし、これは伝説であったことが判明。
でも昔、ドラマで見たのですよ。
京都に嫁いだ女性が、親戚にお遣い物を頼まれて「ぶぶづけでも」と言われていただいてきました、という話。
家に帰ると、もうその親戚から「あんたのところのお嫁さん、ぶぶづけ食べていきはったえ(注:偽京都弁)」と連絡済で、姑から散々小言をもらっていた。
京都をおもしろおかしく表現するために使われたに過ぎなかったのか。
ひさうちみちおさんの絵もよろしおすなあ。
読むと偽京都弁ブームがきます(笑)。
5つの話が一緒に進行していく。一緒というのは語弊がありますが。
老人、看護師、刑事…とそれぞれの視点から。
早々に挫折しそうになったが、刑事がどうも通り一遍の刑事ではなさそうなので、そこに興味の主点を置いて読んだ。
この刑事の追っている事件が、この話の流れなのですが、読後、やはり私にはよくわからない。
金持ち娘たちの道楽と呼ぶには酷すぎる。
道徳的にどうとかそれだけじゃなくて。
あまり大っぴらにはしたくない趣味を持っていてもそれはかまわない。
でもそれと人格が破綻しているのとは別問題。
予備知識ゼロで読み始めたからこんな感想しか持てないのか。
終息の仕方が説明にしかとれないのは残念。
でも話の展開はあっちにつながり、こっちにつながり、と興味をかき立てられました。
講談社の新書でどんどん出版されていた頃は、それに合わせてよく読んでいたが、理由はないけれど最近遠ざかっていた。
読みやすくて好きだったのを思い出し、本格的な長編へのリハビリも兼ねて借りた。
そういえばこの前も「パズラー 謎と論理のエンタテインメント」を読んだっけ。
市民サーヴィス課臨時出張所
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こんな貼り紙が合っているような、いないような不思議な場所に貼られている。
そしてそこには一昔前のコントの役所の職員といった風情の男が座っている。
タイトルにあるように腕貫をして。
連作短編集になっていて、様々な人がこの腕貫男に相談に来るのだが、またこれが神出鬼没。
大学内、病院、街角…と統一性もない。
幻なのではと思ってしまうが、相談を終えると順番を待つ列が出来ている。
対応の仕方がこれまたコントのよう。
誰も待っている人がいないのに受付帳のようなものに名前を書いて待っていなければならない。
時間が来ると相談者がまだ聞きたそうにしているにも関わらず、「次の方どうぞ」となる。
でも、終了間際に答えが導き出されることを伝えてくれる。
この答え方までお役所コント風で素っ気ない。
都築道夫さんの安楽椅子探偵物「退職刑事」が西澤さんもお好きなようで(前出の「パズラー」にそのまま退職刑事が登場していたっけ)そういった趣き。
西澤さんの書くものって、設定はありえないことだったりするが、その決められた中では本格推理であるという印象。
SF的な設定だとか。
これも神出鬼没の市役所相談員というありえない設定。
でもその世界が妙に魅力的。
ライトな設定だけれど心の闇に触れるような事件というのもまた魅力でしょうか。






