「TVブロス」の松尾スズキさんのページで、奥さんが最近読んだ本として書かれていた。
特殊方面のドラマ好きとしては、俄然興味を惹かれるわけで。
米国で死刑囚は刑の執行方法と最後の食事(量も)をリクエストできるという。
その最後の食事をイラストで紹介した本。
罪状と執行方法は書かれているが「死刑囚が何を食べたか」がメインなので、彼らの事件を起こした背景等はサラッとしている。
コーラ、フライドポテト、ハンバーガーなんて米国らしさの表れみたいなものが多いがこだわりのある食事の人も。
なかには本当に一食分なのか?と驚くほどの量をリクエストしている人もいる。
米国のファスト・フードのサイズは日本とは違うと聞いてはいるが、それにしても。
最後が強調され、強迫観念のようにあれもこれもと選んでしまうのだろうか。
そんな人もいるかもしれないが胃薬を頼んでいるヤツこいつは違うな(笑)。
無意識なのか意識してなのか、肉物だけでなくサラダ等の野菜もキチンと要求している傾向がある。
バランスを考えているのか、ちょっと不思議な感じ。
巻末に付録として家庭でも簡単にできる「刑務所一般食レシピ」もある。
ベジタリアン用のメニューもあるとのこと。
もう一つ付録として、収監される際の手引きとして(笑)
処刑方法や最後の食事に関する州差を調べた「州別刑務所ミシュラン」。
参考になるのかなあ。興味はあるけれど。
ちなみにイリノイ州が最高待遇でオススメらしい。
重罪を犯し、反省していてもしていなくても人は何かを食べなければならない。
どんな罪人にも権利がある。サイードあたりが言及しそう。彼の場合はもっと別なところからか。
OZでは囚人が日常の食事を作っているけれど、本には刑務所の料理人が作るとある。
やはりドラマはフィクションか。トラブルの種になること間違いないもの。
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直木賞作家の奥田さんが港町に船で乗り込み、
その町を探索したりおいしいものを食べたりする、という紀行エッセイ。
奥田さんといえば直木賞の精神科医伊良部のシリーズが御馴染みだが、
エッセイもたいへん面白い。
授賞式をすっぽかして行ったアテネオリンピック観戦記「泳いで帰れ」もとてもステキ。
なので否応にも高まる期待感。そして期待通り。
六つの港町を訪れている。前半は「最近仕事してない」と言い続けているが
後半、件の賞を受賞して以降は「この○日間だけ仕事をしないですむ」となる。
それまでだって人気作家なのに、賞の力ってすごいのですね。
ふだんはあまり食べないらしいのに旅先ではかなりの大食いへと変身する。
それは奥田さんのやさしさによるらしい。
ビールを飲みたそう、焼肉を食べたそうな編集者を前にしてお茶だけ頼むというわけにはいかないらしい。
なるほどねえ、はいはい。
でもこれ、関根勤さんの娘さんも言っていた。
「自分が飲まないからお茶でいいね、なんて言ったら本当はビールでも飲みたい後輩がかわいそうでしょ!」
と叱られるらしい。
上に立つものは気配りもできないとね。
「邪魔」を涙しながら読んだ私としては、そろそろまたああいった作風に会いたいなあ。
警視庁の特別研究チームが発見しちゃったのですよ、幽霊の存在を。
死亡直後の人間から、電気エネルギーが分離して浮遊していく。
これが「幽霊」に近い存在らしい。
電気エネルギーの追跡調査の結果、このエネルギー体には精神があり、その人の生前の人格に近いという。
肉体は死んでも精神は生き続ける、それが結論。
しかし寿命(?)はわりと短く1年。
死後の霊力が強いと他者に影響を及ぼすが、弱いとただ浮遊するだけ。
もともとの才能プラス死の衝撃でその力は強くなったりするらしい。
例えば不慮の事故とか殺されたとか。
他者への影響、わかりやすくいうと復讐かな。
幽霊の復讐だから現実的な捜査では解決へ至らない。
実際(?)未解決事件の7割は幽霊の仕業。
そこで警察は幽霊取締りの専門部隊を組織する。
霊能力に長けている人を集め、静岡県警に捜査第5課をおく。
そういった設定のお話です。この設定だけでOKです。
捜査5課は単独での捜査が許されていないので、事件に当たる他の捜査課と合同になるのだが、これがまたお互い仲が悪く、意地を張り合って捜査に悪影響を及ぼす。
静岡県警でテスト運用し、その結果で全国展開を考えるという、企業の新商品開発と同じ手順。
そういうところが本当にありそうかも。
新興住宅地で起きた一家惨殺事件。
被害者家族はどんな人だったのか、その事件の取材と思われるインタビューの形で話は進んでいく。
冒頭の育児放棄で逮捕された母親の記事とか、インタビューされる人の変わり目に登場する妹から兄への語りがどうつながるのかは後々わかるのですが。
インタビューに答える人によって被害者像は違う。
ある人には憧れの対象、ある人にはその逆、というように。
同じ人物を語るのにこうも違うか、と感じる。
そんなことされといてよくもまあ好意的になれるなあ、ということまで。
まあ昔で時間がたっているってこともあるのだろうが。
私はひねくれて物を見るタイプなので、被害者夫婦が美化して語られていても「コイツラ企み過ぎ」と恐くなるが、それ以上に恐いのはインタビューされている人たち。
想い出に浸るからなのか、どんどんヒートアップしていく様子が恐い。
同じ時期に絡んでいる人たちの話がもっと並んでいたらと思う反面、恐さ倍増になる気もする。
最後にこのインタビューの真相が明らかになるが、まあ後味悪い。
「愚行」は何を指しているのか。インタビューと同じでこれも読んだ人毎に違うんだろうな。
児童誘拐事件の捜査を仕切っていた巻島警視。
身代金受渡し現場で失敗し、犯人らしき男を取り逃がした。
そして誘拐された子供は死体となって発見される。
さらにその経過を語る記者会見の席で醜態を晒す。
6年後、連続幼児誘拐殺人事件が起こる。
捜査に行き詰まった中、警察はテレビのニュース番組での公開捜査を取り入れる。
出演する捜査官として選ばれたのが、6年前に醜態を晒し左遷されていた巻島。
小説だから展開される捜査方法。実際だったらありえない。
それだけに面白い。
視聴者の反響とともに犯人からの手紙が届く。
もちろん悪戯、便乗の手紙も半端じゃない。
大反響をよんで番組の視聴率も高騰する。それにライバル局が反応し、対抗手段をとる。
ライバル局の投じた疑いの情報に、視聴者や警察までもが揺すられていく。
事件より政治的立場をとる上司の登場はもちろん、
ライバル局のキャスターに捜査情報を横流しする上司までいる。
敵は犯人だけではなく、内部にもいるのだ。
感情をあまり表に出さない巻島。
でもそれは6年前の事件が自分の中で片がついていないから。
終盤で爆発させた感情がもうこの本のクライマックスそのものかも。
私には捜査の結末よりも、テレビを巻き込んだ警察内部の駆け引きや、単純にえげつない視聴率神話の話のほうが魅力的だった。
警察内部の駆け引きというよりも、情報横流しの上司はヨコシマな感情のみだったんですけどね。






