5人の女性警官それぞれを中心に語られる10篇の物語。
ハヤカワ・ポケミスなので警察小説かと思うが実はそれぞれの女性の物語。
エンタメ系の小説ばかり読んでいるせいか初めはとっつきにくかった。
それが読み進むうちに連れて行かれる世界はなんともいえない。
みなまで語らぬ美しさ、とでもいうのかな。
行間から伝わってくるものがとても大切。
こうやって語るのも野暮なくらい。
今、警察・消防・救命士ドラマ「サード・ウォッチ」を見ている。
女性警官ヨーカスの発言に首を傾げ始める今日この頃でしたが、
この本を読んだ後ではまた違った目で見守りたい気もしてきたな。
PR
プリム・ローズというジュニアブランドの洋服を着ていたためと思われる少女殺人事件。
お子様には高価なこのブランドをめぐって、事件解決を目指す女性刑事、娘に服を着せたい母親、ブランドを守りたいゼネラル・マネージャー、瑣末なことに無関心そうなデザイナー兼女社長。
それぞれの視点から事件が見えるわけだが、ジュニアブランド服の世界の凄まじさに目を奪われる。
自分には全く縁のない世界なので「うひゃー、そんなことになってるの?」といったのが正直な感想。
大人だったら「少し高くても質の良いものを」って感覚はわかるけれどまだローティーンには質の違いなんてわかるのかなあ。
そう思う感覚がわかるってだけで私も質の違いはわからないな(苦笑)
救いなのは壊れかけていた家族が、この事件をきっかけにどん底を経て再生できそうってことかな。
本筋ではないけれど、ゼネラル・マネージャーの不倫の相手(途中から不倫じゃないんだけどね)がどうしてもJosh Hopkinsに思えて仕方ない。
女性に誠意があるようでそうではない、しかも本人はそう思ってない。
まさに彼(の役所)そのもの。
演じてる役がことごとく結果的に女性の敵。
この役、是非Josh Hopkinsにやってもらいたいなあ、と本とは関係のない感想でした。
あまりにも有名な本。
それ故に図書館ではキレイでないし、昔からあるので字も小さい(何歳だ?)と、読みたかったけれど変な理由で敬遠してきた本。
それが先日図書館に新版があるじゃありませんか。
翻訳の仕事をする34歳独身、ヒルデガルデ。
戦争で身内を亡くし天涯孤独。
彼女は新聞の交際相手募集欄に目を走らせ、金持ちとの結婚を夢見ている。
そんな時にこの上ない良縁の広告を発見する。
当方、莫大ナ資産アリ、良縁求ム。ナルベクハはんぶるく出身ノ未婚ノ方ヲ望ム。世間ヲ知リ、家族係累ナク、ゼイタクナ暮ラシニ適シ、旅行ノ好キナコト。感傷的おーるどみす、暗愚ナ人形ハオ断ワリ
この広告に応募し、話は好転し富豪と結婚。
夢のような生活が待っているはずだったが…
書かれたのが1956年、50年も前のこと。
なので警察の捜査の方法には技術的に着目不可能なこともあるかもしれない。
それに加えて「足での捜査」にも緩みが感じられる。
これが当時の範囲なのかな。
さらに当時の法律の規定なのか、それとも気にする人もいなかったのか、今では重大な欠点となりうることがポイントになっていたりする。
しかし、これらを脇に避けるほどの話の転がり具合。
孤独さが彼女にすがらせたもの、それが哀れ。
知的なはずの彼女が何故?と一気読み。
共謀者と信じていた人物との対峙で露わになる愚かさがまた哀れ。
現在ではこの犯罪計画は成立しない。
法的なこともあるし、声門分析やDNA鑑定等の捜査技術の進歩もあるから。
それでも引き込まれる、魅力的な本でした。
追記
「わらの女」で検索すると出るわ出るわ、昼ドラの話。
全く知らなかったが今フジテレビでやっている昼ドラはこれを基にしているとか。
新版が出るには理由があったのね。
元プロ野球投手倉沢。
試合中、打者の頭にボールをぶつけ再起不能にしてしまう。
この件が尾を引き倉沢はプロの世界を去る。
そして今は便利屋をやっている。
倉沢にぶつけられた西野とその妹と。ちょっと微妙だけれど。
そこに「付き添い屋」という特殊な依頼が舞い込む。
子供に付き添ってサッカーを見に行くだけなのに高額な報酬、国に帰る女性が飛行機に乗るまで見届ける、泊まることが条件の本の整理…どこか裏がありそうな胡散臭さ。
倉沢がそれぞれの背景にある謎を解いていく、というお話。
でもそれだけならただの連作短編集。それだけではないのですよ。
人の選手生命を奪い、それをきっかけに自分の選手生命をも失った倉沢自身のエピソードが胸に詰まる。
最初から伏線が張られていたことに驚かされた。
そう知ってから、とぼけっぱなしの会話を思い返すともう結滞がおきそうなくらい。
この倉沢のエピソード、大好きな奥田英朗さんの「邪魔」に出てきた刑事を想い出させる。
この刑事の話は途中から疑いだし、そうなんだとわかった時には胸が張り裂けそうだった。
「145gの孤独」は疑わせなかった。伏線に気付きもしなかった。
日常の謎を解いているようで、実は倉沢の謎が描かれているというとても好きな展開。
脇に出てくる倉沢の子分の花屋も実にいい子分っぷり。
そっけなさすぎる西野の妹と対照的。これも伏線の一つかな?
警察官から「刑事の墓場」と呼ばれる動坂署が舞台。
不祥事を起こしたものの表立った処分をすると、
それを手繰って上層部の責任問題まで追及されそうな、
そんな警官を動坂署に転任させる。
そこで仕事らしい仕事も与えられず、飼い殺しの状態にされる。
動坂署自体が窓際。はみ出しものの集まり。
こんなところに送り込まれたやる気のない集団かと思いきや、
初の捜査本部が置かれる事になってから生き生きと動き出す。
捜査本部が置かれた目的は動坂署を無くすことだと知り、
彼らは必死で署の存続のために事件の捜査をするのであった。
彼らが必死で守りたい動坂署に隠された真実とは…?
こんなお話。
ミステリとすると弱いし、警察小説としても弱いです。
でも、この設定がとても魅力的なのでOKです。
あれ、こんなこと前にも書いた覚えがあるぞ(笑)
動坂署に赴任したほうがよさそうな刑事もいるので
シリーズにならないかな、と期待しちゃいます。






