鯉ヶ窪学園野球部のベース一式が盗まれた!探偵部が捜査を開始するがその渦中、練習試合に向かった飛龍館高校グランドで野球部監督の死体が発見される。またもや殺人事件に関わることになってしまった探偵部員たち。捜査の続けられる中、第二の殺人が起きる。果たして動機は?そして探偵部は今度こそ犯人を指摘できるのか?
「学ばない探偵たちの学園」の続編。
前の事件の数ヵ月後と書かれている。推理小説のシリーズ物とはそういうことなわけだけど、国分寺市って治安悪いな(笑)。
話は例によって本筋とは直接関係のない笑いどころが散りばめられている。2作目となればキャラクターにも馴染んできているのでなおさら楽しい。
しかし殺人のトリック、私には難しかった。図を使っての説明で「ふ~ん、そうだったのか」という程度。動機もなんだかそんな大それた事件に匹敵するかというと甚だ疑問。まあ、犯人がそう思ってしまったのだからしょうがないけど。
探偵部と同じことで驚愕した推理披露時の真実の方が「あっ!」という感じだった。
途中祖師ヶ谷警部、烏山刑事を交えての事件捜査っぽいシリアスな意見の応酬に感動して涙する部長とか変な方向にヴァージョンアップした様子も見られるけれど、結局探偵部の推理は的外れなのでご安心を。
野球は結構好きだと思っていたのに、「補殺」を「捕殺」と誤解していたことを初めて知った。赤坂も得意そうに誤解説を語っているのでよくある間違いみたい。
で、探偵部顧問の石崎はどうした?あんなに気が合ってる風だったのに一言も触れられてないのが不思議でならない。事件を解決できる人は二人もいらないってことだったのかしら。
PR
12の事件とストーリー全体の謎を解く1篇からなる連作短編集。
五龍神田(ごりゅうかんだ)刑事がそりの合わない上司らと難事件に立ち向かう。
馴染みのホームレスたっちゃんとの会話が気分転換になることもある。
新入りホームレスじっとくの言葉が事件解決のヒントとなるのだが…。
五龍神田はせっかくのヒントをいつも読み間違う。
読み間違ったままそりの合わない上司に報告してしまう。
そこには既に真相をつかんでいる上司がいて一笑に付される。
ひねりが足りないんだよね、ひねりが。
五龍神田の「五龍」は「五流」の間違いなのでは?と思うほどの外しっぷりだ。
その繰り返しでもへこたれないのはある意味大物なのかもしれない。
推理披露で必ず主人公が負けるパターンだと油断しているといきなり正解もあるので注意も必要だ。
途中から怪しげな探偵も加わって、全体を通して隠されていた謎を解く最終章へと導かれる。
狙ったわけでもないのに図らずも最近読んだ「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」と似通った筋立てであったことに驚く。
こちらの最終章は完全に謎解き章なわけでちょっと違いますが。
じっとくの素性はなんとなく想像できてしまったうえに、自分におきた偶然の方に驚いて消化不良気味。
何か申し訳ない感じ(笑)。
ここで書いている本のことは図書館で借りたものがほとんど。
好きな作家さんのものを借りるのはもちろん、図書館ならではの出会いというものもある。
「新しく入った本」のコーナーをよく見る。50音順の棚に並ぶ前のここなら、名前は知ってるけれど興味の範囲外だと思っていた人や全く知らない人のちょっと興味を惹かれる本等に出会う可能性があるじゃないですか。
過去にもここでそういう素敵な出会いがあったし。
自主的な校閲やタバコの臭いが沁みこんでないから新しい本が好き、というのもありますが(笑)。
大宮エリーさん、私は全く知らなかったのですが「サラリーマンNEO」とか手がけてらっしゃるらしい。
その方の「週刊文春」に連載されていたエッセイなのですが…変だ…私好みに(笑)。
一番初めの「ビキニ」を立ち読みしてその衝撃に借りることに決定したくらい。
「やります」は次々に「やっていく」様子が目に浮かぶようだ。
控えめなんだか攻撃的なんだかわからない行動の数々、気付いたら笑ってました。
エッセイなので何が面白いのかは小説よりも人それぞれでしょうけれど私は愉快でありました。
兄理一の家で姪っ子ひとみと遊ぶのが楽しみな刑事舞田歳三の関係する事件の連作短編集。ゲームや他愛のない会話、その会話に事件解決のヒントが隠されていたりで一石二鳥だ(笑)。
刑事が普通の自宅で事件の話をすると解決らしいので頭の中では都筑道夫さんの「退職刑事」の図式が出来上がってた。
でも退職刑事役のひとみちゃん(注:私の中だけでですよ)は事件の話もあまり聞かされないし、発するヒントも歳三が閃くのであってひとみちゃんには意識がない。ダンスもしてない(笑)。そういう意味では肩透かし。
著者が「ゆるミス」「やわらか本格」と表現されているそのままに楽しめるのは間違いないのですけど。
1話だけでキャラクターのアウトラインを説明してしまうことをせず、話を追うごとに少しずつ明らかになっていくのも楽しみがいがある。
そう考えると収録されている6話で1話かもしれない。
「ゆるミス」等と表現されてはいるが、小学生が闇金に金を借りて「死んじゃったから返さなくてよくなってラッキー!」とか、市会議員の性的嗜好とか、従順であるが故に鬱積したものが爆発するとか、病んだ社会がこれでもかと登場。
その陰惨な部分を中和するのが舞田家のキャラクターの役割なのかも。
当然これも図書館本なのですけど、タバコ臭くてかなわなかった。
それでも読み通したというところで面白かったんだなということをわかっていただきたい(笑)。
「ルピナス~」を続けたせいかまた津原さんの本を読みたくなってしまった。
そしたら…またやっちまったようです。
amazonの紹介見たら「猿渡シリーズ、待望の続編!耽美怪奇短篇集」とあるじゃないですか。
「蘆屋家の崩壊」というのがそれのようだ。
粗忽者なのは重々承知だけれど、こう続くと…開き直るしかない(笑)。
「綺譚集」は美しいのかグロテスクなのか、その紙一重のところを歩かされている感じが強烈だった。それで免疫ができたのか強烈さは薄れましたが紙一重感はそのまま。タイトルになっている「ピカルディの薔薇」なんてまさにそんな感じ。
夏目漱石の「夢十夜」がとても好きなので「夢三十夜」に興味津々だったが、本を読み終えてみるとこの本全体が夢十夜の世界だな、と思えた「夕化粧」なんて特に。
「ルピナス~」しか知らないと驚くだろうけれどこの世界はたまらない。猿渡と伯爵の関係を先に知っていればもっと…と思わないでもないけれどこれから読めば大丈夫なのです。悔しくなんかありませんよ。
珍しい食べ物の話がたんまりと登場しますが蛭のソーセージは…!