日常に潜む恐怖を描いた実話短編集とか。
壊れた人々による恐怖の出来事を体験談として取材した平山さんがまとめあげたというつくりらしい。
平山夢明というよりデルモンテ平山の方に馴染みがあるので知らなかったがこういった短編集を山のように出されているのですね。私は…一冊でいいや(笑)。
取材に基づいた実話らしいけれどどこか都市伝説風味。
でも昨今のニュースを見ていると時々信じられないようなことが報じられているからこれも眉唾とは言い切れないのだろうな。
幽霊よりも生身の人間の方が恐ろしいということか。
信じられないような話の連続に一番リアルだなと感じられたのは「警察は何かあるまで動いてくれない」というところ。
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シリーズ(?)5作目のエッセイ。
いつもの煙に巻かれたような法螺とも現実ともつかない話の数々。
この文体を読むのに最初は違和感があったけれど今となれば独特のリズムとなって逆に読みやすくってたまらない。
エッセイなんだしあえて書くこともないと思ったけれど今回から「テースト~」以外にタイトルがつくようになったらしいのでつい(笑)。
それと内田百閒先生の匂いを突然のように感じてしまったもので。
鞄を持つのが嫌いで必要な時には友人に借りるという件で「漱石先生のお古の帽子は7年もったのに君のは安物だから3年しかもたない」といいがかりをつけた話を唐突に思い出した。
百閒先生を頭に浮かべながら読むと、あーだこーだとヘンテコリンなことを並べた最後に「という話を聞いた」と締めたりするのも百閒先生としか思えない。
百閒先生好きの私がこのシリーズを楽しみにしているのはただ面白いから以外にも理由があったということなのだろうか、なんて感じてしまいましたとさ。
ついでに百閒先生の何が好きかといえば、「冥途」などの小説は涙がでるくらい繊細なのに「阿房列車」や「大貧帳」のような随筆ではとことんとんちんかんであるという落差に他ならない。
前3編はミステリ、後5編はホラーとして掲載されたものを一冊にまとめるにあたってミステリ部分に手直しをして内容をならした、と著者の言葉にある。
ジャンルにはこだわらない質なので私は気にしないですけれども。
今邑さんはデビュー作とあまり相性がよろしくなかったので以降読んでいなかった。
しかし怪しい装丁に魅かれて読んでみたところ、読みやすいのに嫌な感じにつきまとわれるがそれが嬉しいとでもいいましょうか(笑)。
どれも爽やかでない余韻が魅力的。
こう思ってしまうのは最近辛いことがあった私だけなのでしょうか。
ホラーというにはやさしく、ブラックというにはほのぼのといった曖昧さが私は好き。
タイトルになっている「鬼」は底に恨みが据えられていたらありきたりだけれど、鬼のみっちゃんにそんな気ゼロなうえ、待っている方も恐れとは違った感情であるところが心地よかった。
もしかすると敬遠していたのがもったいなかったくらい好みのものを書かれているのかも、とちょっと慌て中。
以前に出版されたものは見つからず未読だったが、装いも新たに登場しようやく念願叶った。
宮田さんの本はほとんど読んでいるが、この本は宮田さん自身もお気に入りということで是非読みたかった。読んで納得、実に愉快でありました。
変なカタチの海の生き物を見るためにシュノーケリングであちこちの海に出かけている旅行記。
私は海にさほど関心がないので例の語り口が楽しめればいいやくらいの気持ちだったが、十分お釣りがきました。
ダイビングではなく何故にシュノーケリングなのか、それは面倒臭いから(笑)。
でもぐうたらの面倒臭がりとは質が違う。
「そんな装備している間に見ちゃえばいいじゃん!」という気持ちが伝わってくるようだ。
そう、宮田さんはフットワークの人だもの。だから変なカタチの生き物や巨大仏や不思議な盆栽に次々に魅せられているのだなと感じる。
自筆のイラストがあるのも期待値が高かった。でもこれはごく普通に観察した生き物の絵だけなので他の何か(鼻毛オヤジとか)を期待するのはよくない(笑)。
力強いタッチでぐいぐいと描かれているイラストは憧れでもある。
何故なら私は小学生時代、観察スケッチが大の苦手。見たものを描くというのができない。
変なこだわりをもつ質だったので今考えると同じにならないことに嫌悪感があったのかもしれない。
頭の中で想像したものを描くのは好きだったからへそ曲がりなだけかも。
だから自信たっぷりで描かれる観察イラストの気持ちよさといったら。
温暖化の影響か状態が心配されたサンゴも完全とはいえないが多少は持ち直していたとの新あとがきでの報告にも一安心。
そして心に残った名言は「初心者の感動ほどあてにならないものはない」だ(笑)。
パリのお店をワンさんたちが案内してくれているような趣向の写真満載だけど分類は写真集ではないようだ。
どのワンさんたちもこの前の「アジワン」とは表情が違って見えるのは気のせいだろうか(笑)。
おすまししてるってわけではないのだろうけれど、何か違う空気を感じる。
私のパリに対するイメージのせいなのかもしれない。
ワンさんたちが風景に溶け込んでいるのが好きなので無理な相談だと思っていた年齢と名前が添えられているのにはちょっと興奮(笑)。
それがあるだけで想像が広がるじゃないですか。
ペット専用のお菓子屋さんは珍しいとか、洋服を着せるのは防寒対策等の実用性からがほとんどというのはオシャレの街のイメージとかけ離れていて意外。
フランスといえば犬の糞、というくらい飼い主が道路に放置状態というのは有名な話だったが最近では片付けないと罰金を科せられるらしくそんなことないらしい。
糞を片付ける専用の袋も通りに設置されているとか。
「糞を片付けるなんて!何のために税金払ってるんだ?」という意見も罰金には勝てなかったようだ。
ここまで書いてようやく「アジワン」との決定的な違いに気付いた。
こっちはほとんどが犬種がはっきりしてなさる。飼われ方の違う結果か。